自律神経は、脳機能、内臓、血管、全身の筋肉といった生命維持機能と密接な関係なので、ちょっとした乱れでも、とてつもない不調があらわれてしまいます。
不調の種類もさまざまで、症状も重く、厄介ではあります。
しかし、その反面、カラダの病変ではなくあくまで「はたらき」の部分のため、改善の余地は十分にあると言えます。
はたらきのバランスさえ整えばいいので。
今からお伝えする方法に取り組み、カラダ本来のバランスと機能を取り戻していくことにより、
頭痛、頭重感、めまい、強いだるさ、耳鳴り、首こり、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、しびれ、息苦しさ、冷え、視界のまぶしさ、喉のつかえ、動悸、微熱が続く、三叉神経痛、不眠、眠りが浅い、不安感などの症状は、経験上ほぼほぼ出現しなくできます。
一体どのような方法か?
自律神経を乱すのは、よく不規則な生活習慣やホルモンバランスのくずれ、大きなケガや病気をした影響など言われますが、
実は一つ大きな要因があります。
それは、
首の筋緊張
です。
具体的に言えば、
「頭をバランスさせるための筋肉の硬直」
が不調を引き起こします。
自律神経機能が、「首の奥にある繊細なはたらきをする筋肉(後頭下筋群)」の緊張と密接に関係しているからです。
これらの筋肉は、背骨の一番上で頭をバランスさせるためにはたらく、とても繊細な筋肉で、
軽視されがちですが、めちゃくちゃ重要な存在で、この筋肉のはたらきが阻害されると、カラダ全体の機能に多大な影響が出てしまいます。
自律神経もその一つ。
正常なはたらきが妨げられてしまい、さまざまな不調が引き起こされるのです。
根本治癒のポイントはまさにここです。
この筋肉の緊張を解いて、ユルユルと頭がきれいにバランスできると、不思議なくらい不調は改善されていきます。
驚くほどに。
ただ、厄介な点として、この筋肉はとても繊細で、周囲の大きな筋肉がはたらいた途端に影響を受け、機能できなくなってしまうことです。
成人の頭の重さはボーリングの球くらいの重さがあります。
本来、頭は背骨の一番上で、「皿回しの皿」のようにうまくバランスさせているものなのですが、ちょっとでもそのバランスから外れると、周りの筋肉がその重さをカバーしければならなくなります。
例えば、猫背とか、スマホをうつむいて見ているような時とかそうです。
頭を支えるために表面の強い筋肉が重い頭を支えるために緊張し、それに伴って繊細な後頭下筋は動くことができずガチっと硬直してしまいます。
よく「赤ちゃんが初めて立った時がもっとも自然な姿だ」と言われるように、本来はほんのわずかな筋力でいいのですが、バランスがくずれることで不要な筋緊張が生まれてしまうのです。
この緊張の習慣化が自律神経の乱れを引き起こし、不調の原因になっているケースがとても多いです。
なので、不要な首の筋緊張、ポイントとなる後頭下筋群の筋緊張を解いてあげることが一つの解決策になります。
では、具体的にどうすればいいのか?ですが、
「カラダのバランス(姿勢)を整えて筋緊張を解いてあげる」
ということになります。
でも、バランスって何?正しい姿勢とかよくわからない
となると思うので、ファーストステップとして簡単なエクササイズをシェアします。
「体調悪くて運動なんてできない!」という方でもご安心ください、トレーニングのような大変なことをする必要もありません。
「1日30分、ある体勢で横になるだけ」
カラダに無理もなく、とてもカンタンなエクササイズです。
このエクササイズの目的、ポイントは、
実際に筋緊張を解くこと、そしてもう一つ、カラダが「ゆるんでいる」感覚(体内感覚とでも言いましょうか)を養ってもらう点にあります。
どういうことかというと、
人の脳は意識を向けることによって、脳の中でどんどん神経の回路を作り上げていきます。
例えば、なんでもそうですが、慣れないことをしようとすると最初はぎこちないけど、慣れてくるとどんどんスムーズにできるようになっていく、ような感じです。
それは脳の中で神経がつながり、効率的に機能するための回路ができあがることで、カラダの動きもスムーズで効率的になっていくからです。
体内感覚もこれと同じで、カラダの内側に意識を向けていると、どんどん細かい感覚までわかるようになっていきます。
ここに力が入っていたなとか、ここの力を抜くと楽になるとか、だんだんわかるようになります。
ゆるんでいる感覚、立った時に頭がうまくバランスされている感覚、それが養われていくと、例えば、人から正しい姿勢バランスを教わった時にも「これか」と体感的に理解できるようになります。
自分でカラダ本来のバランス、機能を整えることができる。
つまり、自律神経の不調も自分で治せるということです。
そのための体内の細かい感覚を得られる方法なので、ぜひ試していただけたらと思います。
以下がエクササイズの説明です。
「寝ているだけ」の超シンプルエクササイズ
このエクササイズはとてもシンプルで簡単です。
「1日30分、ある体勢で寝ているだけ」
本当にそれだけのことで大きな変化を得られます。
ただ、やることはシンプルですが、その時にベースとなる大切な考え方(意識すること)があります。
その基本的な部分が間違った方向にあると効果が薄れてしまう、あるいは得られない場合がありますので、はじめにお伝えしておきます。
取り組む上で大切なこと
まず、このエクササイズを取り組むにあたり、大前提としておぼえておいていただきたいことがあります。
それは、「“引き算”の考え方をする」ということです。
引き算というのはどういうことかというと、「何かをする」という考え方ではなく、「やめる」という方向で行っていただくということです。
やめるというのは、「いま自分でしてしまっている余計なこと(症状を引き起こしている要因)をやめていく」ということです。
実は、私たちが何かカラダの痛みや不調を感じているときは、「自分自身でそうなるようにしてしまっている」場合がほとんどです。
例えば、「肩こり」がわかりやすいかもしれません。
デスクワークや家事、長時間の立ち仕事などが続くと、知らず知らずのうちに肩が凝ってしまってつらくなることがあると思います。
多くの人はそのコリに対して、首や肩をぐるぐる回したり、叩いたり、湿布薬をはったり、お風呂で温めたり、マッサージに行ってほぐしてもらったり、解消できそうな何かをすることでしょう。
でも一時だけ楽になっても、すぐにまたぶり返してしまう。
何年も何十年も肩こりと付き合っているという話もよく聞きます。
なかなか解消ができないのは、本当の要因に対処できていないからです。
肩こりの要因のほとんどは、自分で肩がこるようにしてしまっていることです。
例えば、座ってパソコン作業をしているとしましょう。
画面を見続けていると、焦点を調整する目の筋肉が緊張して、頭を画面に近づけることで前に落ち込んで、首の後ろが縮こまって、背中がまるまって、首や肩の筋肉は重い頭を支えるために緊張しっぱなしになります。
気づかないうちにしてしまっている習慣が、実は肩こりを引き起こしている本当の要因だったとしても、それを「やめる」という部分にはなかなか意識が向かないのです。
私たちの身体はとても素直で、脳から受けた指令(意識)に対して忠実に従うようにできています。
たとえば、猫背になって、肩が上がって、頭が前に落ち込んで、そうした姿勢をとっている時は、そうなるように指示されていて、身体はそれに忠実にしたがっているだけということです。
だから、それをやめることができれば肩こりは自然と無くなるわけです。
背中を丸めるのをやめ、引き上げていた肩をスッと楽におろし、首肩周りの筋肉を緊張から解いて緩めてあげる。
そうすることで、それまで首や肩の筋肉で支えなければならなかった重い頭がスッと元の位置に戻ってバランスされ、姿勢が戻り、コリ固まっていた肩周りの筋肉も緩み、それにともなって症状も消えていくのです。
「肩こりをやめる」ことができるのです。
あれをやればどうだろう・・・こうすれば良くなるかな・・・
と、症状に対して何かを付け足していっても、根本的な解決に至ることはありません。
自分が気づいていないところでしまっている「本当の要因」をやめていく、その「引き算」の考え方が症状の改善にとっての重要なポイントになるということです。
自律神経失調症もそれと同じです。
いま自律神経の乱れが現れているということは、そうなるように自分の身体にさせてしまっている可能性が大です。
だから、それを「やめる」ことによって、根本的な改善ができるようになるわけです。
つまり、自律神経の乱れを引き起こしている今現在の“間違った習慣をやめる”ことで、自然と症状を消していけるようになるのです。
そして、その「やめる」ための最初の重要なステップが、今回あなたにお伝えするエクササイズです。
この「やめる=引き算」の考え方を基本に取り組んでいただけたらと思います。
「動かないこと」
これは今お話しした「引き算」的な考え方につながることですが、とても重要なポイントです。
一般的にエクササイズやトレーニング、リハビリテーションというと、「何かをする」という「動くこと」を前提に行われます。
腕をこう動かして〜、脚をこう上げて〜、身体をこう動かして〜、みたいに動きをベースに組みあげられています。
実はここが大きな落とし穴です。
どういうことかというと、「動く」と、ズレが起こってしまっても、そこにごまかしがきいてしまうからです。
絶対にズラしてはいけないとても重要なポイントがあっても、それが動きの中で行われると曖昧になって、ズレが出てしまっても、帳尻合わせされて、気づけないまま埋もれていってしまうのです。
そうなると効果は激減してしまいます。
だから、そうならないためにこの最初のエクササイズでは、「動かないこと」をベースに行っていただきます。
動かない中で、集中して「症状を解消させる最も重要なポイント」に意識を向けることができるようになるからです。
何か特殊な「動き」をしてどうこうしようとするのではなく、「動かない」中で、集中して意識を自分のカラダの中に向けていただくことがとても大切です。
ですので、このエクササイズは「運動」というようなイメージではなく、「自分自身のカラダへの意識と気づきを得る」という視点で取り組んでいただきたいと思います。
シンプルに、集中して、「意識」と「感覚」を養ってください。
その意識と感覚が“症状を二度と再発させないためのカギ”にもなります。
前置きが長くなりましたが、お伝えしたことはとても重要なポイントなので、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。
エクササイズのやり方
では、エクササイズへと入っていきましょう。
お伝えした通り、やるべきことはとてもシンプルです。
1日30分間、この図のような体勢で横になってください。
・仰向けに横になり、膝を立てて、腰が反り返らないようにする
・頭の下にタオルなどを丸めて入れる(※首の下には入れないこと)
・枕は後頭部を背中に対して少し高めにする(理想は3〜5cm)
・メガネやコンタクトレンズは外す※
・目は閉じるか、焦点を合わせずに広く視界をとる※
・この体勢で30分ほど静かに横になる
※メガネ、コンタクトを外すこと、焦点をどこかに合わせず目を緊張させないようにすること、とても重要です。
なぜなら、焦点を合わせるためにはたらく眼の筋肉が後頭下筋と密接に連動していて、首の緊張を助長してしまうからです。
なぜこの体勢を取るのか?
その意味合いについてお話ししておきましょう。
目的と理由はいくつもありますが、一つは、
重力に対して横になるこの形が、背骨が最も緩みやすい理想的な体勢だからです。
首の筋肉が緊張しているときは、同時に背骨全体も固まってしまっています。
背骨から出ているさまざまな神経の枝が、背骨が固まることで影響を受けてしまうのです。
背骨を固めるのは筋肉の緊張ですから、その筋肉の緊張を解いてあげるために、最も緩みやすいこの体勢をとるのです。
そして、もう一つの理由は、この形が「頭」と「身体」のバランス(頭がカラダの上でどの位置にあるべきか)を理想の状態に戻せる体勢だからです。
猫背の場合、頭が身体に対して前に落ち込み、崩れてしまっています。
逆に、軍隊的な“気をつけ!”のような姿勢は、アゴを引きすぎて身体に対しての頭の位置が不自然に下がりすぎです。無理やり真っ直ぐに見える姿勢を作っても、首や肩がガチガチに固まってしまい、かえってカラダには大きな負担になります。
そうした“無理やり作ったバランス”ではなく、頭がカラダの上で「自然に」「楽に」「力みなく」バランスできる位置へと戻していくための方法がこのエクササイズなのです。
そして、このエクササイズを習慣的に行っていただくことで、筋肉の緊張が解けていく感覚、背骨が緩んでいく感覚、首の緊張が解けていく感覚、など自分の身体がどうなっているかを感じることができる細かい感覚、「体内感覚」がだんだんと培われていきます。
意識を自分のカラダの中に向けることで、今まで気づかなかった間違った習慣に気づくことができ、それを元にして習慣を正しいものへと変えていくきっかけとなるのです。
そして、その体内の細かい感覚は自分のカラダを観察すればするほど、意識すればするほど、さらに細部まで研ぎ澄まされていきます。
呼吸している時の背骨の伸び縮みしている感覚、首が緩み、呼吸が楽になっていく感覚がわかり、そして不必要にしていた緊張に気づくことで、自分でそれを解くことができるようになります。
「動き」の中だと、こうした繊細な感覚があやふやになってしまうため、「動かない」という最もシンプルな方法で養うのです。
もちろん、こうした感覚は特別な能力でもなんでもありません。
本来、誰もが本来持ちあわせており、意識するだけで養うことのできる感覚です。そこはご安心ください。
個人差はありますが、早い人であれば3ヶ月程度で脳内の神経回路ができ上がり、相当クリアな感覚として捉えることができるでしょう。
こうしたいくつかの目的と理由を含んだエクササイズですが、とりあえずはシンプルに、動かず横になるだけという「カタチ」から取り組み始めてください。
静かに、意識していくことで、カラダが緩み、自然と自律神経の乱れの要因をなくしていくことができます。
なお、このエクササイズをする際の「注意点」はこちらです。
・冷えた床の上では行わない
冷えで血行が妨げられる場合があるので、暖かい場所で行ってください。
・適度な硬さのマットなどの上で行う
柔らかすぎると沈み込んでバランスが変わってしまうので、沈み込みの少ないカーペットや畳、ヨガマット、薄いマットレスの上などが良いでしょう。
また、頭の下には、タオルなどを丸めて高さ調整のできるものが良いでしょう。
高さは3〜5cmが理想となりますが、猫背が習慣化していた方などは、それだと最初は低すぎて、首がそりかえってしまう場合があります。
その場合、はじめは多少高めに設定して、徐々に薄くしていくようにしてください。
首が反り返った状態では、首の後ろ側にある神経の通り道を狭め、神経のはたらきに影響を及ぼしてしまうため、首が反り返らない高さで、首の筋肉が緩みはじめて、頭とカラダのバランスが戻っていくのに合わせつつ高さを調整していきましょう。
このエクササイズを習慣化していただくことで、実際、症状自体もかなり改善できるでしょう。
なお、取り組む際の一番のハードルは、カラダの内側の感覚「体内感覚」を養う点だと思います。
目に見えるものではないので、もっとも時間を要する部分ではありますが、これが症状解消の一番のポイントです。
ここでお伝えした方法は、基本的なステップですが、「立ち上がった時」「動く時」といった時でも、その根幹にあるのは、この「体内感覚」です。
はじめは、実感もなく、よくわからないかもしれませんが、必ずや良い結果に繋がっていきますので、ぜひ継続していただきたいと思います。
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ここからは余談ですが、
即効性を求めるなら・・
「トランポリン」
が効きます。
冗談のように思えるかしれませんが、
トランポリンを5分間、軽くピョンピョンと跳ぶだけで、
・全身の骨格、筋バランスが“半強制的”に整う
・血液、リンパがグルングルンと回るので、全身の血流改善になる
・脳内血流が良くなり、うつ症状の改善効果も実証されている等
ほかにも
ぎっくり腰状態でもトランポリンを跳ぶと、筋緊張が解けるので、痛みはあるものの普通に歩行できるようになったり、
骨盤バランスが整って内臓もおさまり、ぽっこりお腹が解消できたり、
骨格のバランスを整えて、血流の改善も得られるということは、当然、自律神経症状の改善にもかなりの効果が見込めます。
一見、遊び道具のように思えるトランポリンですが、実はさまざまな効果効能があります。
一言で言えば、「超優秀な医療器具」です。
海外では医療的な効果もいろいろ研究されているので、騙されたと思って試してみるのも良いかと思います。
選ぶ際の注意点としては、
ナイロンバネではなく「金属バネ」のものを選ぶこと。(ナイロンでは必要な反発が得られないため)
なお、トランポリンは楽天やアマゾン等で数千円で買える、1メートル幅くらいの小さなもので十分です。
例えば、こんな簡便なものでも大丈夫です。
簡単で効果も即効的に得やすいので、選択肢の一つとして、よければ参考にしてください。
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